歓楽の彼岸
這いまわる指先の運動
悦楽(ヨロコビ)の琴をかき鳴らし
滑らかな肌を滑るように
自在な往復が私にめまいを起こさせる
あぁ、水音の鳴る淫らな背徳
心地よい堕落
白い闇に抱かれて
光の先へと突き抜ける
脱皮した蛇が煌めく鱗をうごめかせ
私の奥に奮えを起こす
聖域から溢れ出す聖水の
清らかなる奔流を受け止め
ひとつとなりし内膜の
軟らかきリズムに耳をすます
どこかで潮騒の静かな満ち引きが
私の闇を溶かしてゆく
砂浜に立つふたりの眩しげな瞳を
安らかな眠りへと誘うように
やがて夜は訪れ
重なり合う心を労りあうかのように
虚無の彼方へと沈んでいった
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