旅立つ

まるで我が子を送り出すように
赤いポスト口にそっと茶色の長形3号の封筒を差し入れた
中身は頭で捻り出した詩をまずはワードアプリに書き出して
それから所定の原稿用紙に書き写したもの
この日の旅立ちを今か今かと待ち侘びて
やっとその日を迎える

このまま郵便局で仕分けされ
郵便局員の手によって編集部へと届く瞬間を想像するけれど
手元に届いてももしかしたら作品によっては
捨て置かれてしまうかもしれない
それでも送り続けたい思いがあるから
必死に浮かんだ言霊を捕まえて
閉じ込めた原稿を封筒に入れて宛名書きと切手を貼り
念入りに封をしてポストインする

人によってはつまらない小さな旅立ちでも
いつかは日の目を見るであろう我が子を信じて慶びにかえて

24/08/12 01:22更新 / 秋乃 夕陽
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