暗闇の底から
人々がまるで
汚らしいものでも見るかのように
俺をじろじろと眺める
俺は胸が張り裂けそうになった
ふと、“孤独”という言葉が頭をよぎる
“孤独”
そう
俺には人々のように
備わっているものが何もない
ただこの汚らしい身体を
人々の目に曝すのみなのだ
たとえ心が引き裂かれようとも
声を上げて叫ぶことさえ
ままならない
人々はさも幸福そうに
通り過ぎていく
俺の身体をすり抜けて・・・
俺は身体が熱くなる
冷めることのない熱
この身体の熱は
どこから来たものなのか・・・?
分からない
いつ冷めるのかも
“哀しい”・・・のだろうか?
俺は
しかし哀しくとも泣けない
苦しくとも発散することすら出来ない
俺はうずくまる
うずくまり俺の心の一番深いところと会話する
そこはどこまでも深い闇で
不思議と安らぎを与えてくれる
俺は胎児のように身体を丸め
しばらく何も言わず漂う
ふと誰かを呼ぶ声が聞こえた
俺は顔を上げる
それは単なる空耳
俺は落胆と共に再びうつむく
眼を閉じる
何をそんなにガッカリする必要が
あるだろう?
俺はただこうして漂っていればいいだけ
怖いことなど何もない
そう自分に言い聞かす瞳に涙がこぼれる
それは冷たく透明な涙
身体の熱を拭い去ってくれるような涙
俺は涙を指ですくうと
紫色に変色した唇に乗せた
一気に吸い込む
涙の粒は喉元を通り
暗い身体のなかへと吸い込まれていく
ああ
少し軽くなった
これでいい
これでいいのだ
俺は独り言のように呟く
再び誰かを呼ぶような声
俺はそれに答えることなく
さらに深い闇へと堕ちていった
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