偽りの花園

偽りの花園で
彼は笑いながら踊り狂う

どぎつい照明の下で
ひとときの快楽に酔いしれたふりをしながら
客席に目を向け品定め

彼には真の美徳よりも
大切な金蔓から
いくら金を搾り取れたか・・・
ということしか頭にない

“奉仕”よりも
“ビジネス”を好む彼にとって
笑顔と涙の代償は金、かね、カネ・・・
それがなにより優先

まさにハングリー精神からまなび得た知恵

今日も“愛”という魔法をかけて
拍手と歓声を浴び
無残にも観客から金を毟り取ってゆく

そうとも知らず
魔法をかけられてしまった哀れな客も
喜んでそれに応え
蟻のように群がっては
惜しげもなく大枚をはたく

ああ、美意識のはき違い

嘆きの薔薇は
投げ捨てられたゴミ箱の中で
茶色く萎れた花弁を震わせながら
ため息ひとつついた

24/07/05 09:46更新 / 秋乃 夕陽
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