赤と白の幻想【ユウワク】
ひとつずつ壊れていく
ガラスのパズル
純粋な愛も
なにもかも
黒い檻のまえで
崩れ去っていく
冷たい鉄格子に指を這わせ
必死に君の名を呼ぶけれど
還ってくるのは
己の虚しい叫び声のみ
嗚呼
ふたりのあいだに
立ち塞がるのは
蔦の絡まった
巨大なレンガの壁
よじ登ることも
崩すこともできない
ただ天を見上げて
溢れてくる熱い涙を
瞼にためている
どんな思想も信条も
ひとっとびで
乗り越えられたら
どんなにいいだろう?
育った環境が違うだなんて
思いたくない
ただ純粋に
愛し合いたいだけなのに・・・
白地に赤のアクセントを心に刻んで
君は歩いていく
ボクはもう
君の後を
追い掛けることは出来ない
黒い網に囚われて
身動きすら取れないボクを許して
息苦しく胸を弾ませ
手を伸ばそうとするけれど
求めれば求めるほど
君はだんだんと違う人へと
様変わりしていく気がする
二人の間に深まったこころの溝は
どうやったら埋めることが出来るのだろう?
何もかも投げ出して
君の元へと走っていきたいのに・・・
僕の体の中に染み付いた黒い染みは
決して落ちることはない
まるで焼印のように
痛みとともにずっと
肌に刻み込みこんだまま・・・
純粋な愛で
さようなら
愛しいひと
ありきたりな言葉しか
今は思い浮かばないけれど
心に刻む言葉は
君への熱い想いだけだよ
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