人形達の夜U
そこには、血の通った人間の息吹というものは存在しない。
妙に薄ら寒い風が吹く。
潔癖潔癖潔癖
何故人間はこんなにも潔癖を求めるのか。
青白いセルロイドの人形を抱いて眠る人間共。
自分はいかにも知識人であるかのように声高々に主張する。
あごを高く持ち上げ、唇を尖らせながら。
代償として一番大切な“なにか”がバラバラに壊されていく。
悲痛な叫びとともに。
無残な死骸を拾い集めては、私は問いつづける。
“ほんとうにこれでいいの?”
しかし,それは誰の耳にも入ることなく、風とともに闇の中へと吸い込まれていった。
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