嗜む今


小説や映画でよく目や耳にする
”忘れてやるよ”
という台詞

文脈や話の流れから察するに
”水に流してやろう”とか
”なかったことにしてやろう”となる

しかしながら
辞書の”忘れる”の項目に
そんな説明は載っていない

でもそのニュアンスを
感覚的に理解することができる
私たちはそういう生き物だ


本題はこれからです
上記の部分はどうぞ忘れて下さい
ニュアンスはお好みで

人は忘れる生き物です
それと同時に
人は忘れ去られる生き物です

その事実に
今日なぜか
気がつきました

忘れないように人は書き残そうとしますが
どうせ忘れ去られるのですから
書き残す必要など最初からないのです


だけれども
私たちはその衝動を
抑えることができない

残そうが残すまいが
等しく忘れ去られるのならば
残すかどうかは意思次第です

どちらが正しいとか偉いとか
そういう問題ではない
いずれ無かったことになることは確か

私が問いたいのは
無かったことになると分かっていて
それでも残すことに意味が有るのかどうか



今を忘れまいと
残そうとするも
忘れてしまうのなら
今は嗜むくらいでいい










21/03/14 03:16更新 / はともみじ
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