雨の音
この世界には
不快な音が溜まっている
そんな音を消してくれる
雨の音が彼は好きだった
雨の日は
彼にとっての安息日
土砂降りの日には
雨に濡れ一体となった
それほどに雨に対し
親近感を抱いていた
周囲から疎まれる存在
自分に似ていると思った
彼の心は乾いていて
いつも潤いを求めていた
この世界に別れを告げる日は
絶対に雨の日だと決めていた
空の上では雨の音がしない
そんな事をどこかで聞いた
『天国なんてつまらないな』
彼は不意に不快な音を漏らした
そんな音すら
雨は綺麗に消し去ってしまう
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