雨の音

この世界には
不快な音が溜まっている


そんな音を消してくれる
雨の音が彼は好きだった

雨の日は
彼にとっての安息日

土砂降りの日には
雨に濡れ一体となった


それほどに雨に対し
親近感を抱いていた

周囲から疎まれる存在
自分に似ていると思った

彼の心は乾いていて
いつも潤いを求めていた


この世界に別れを告げる日は
絶対に雨の日だと決めていた

空の上では雨の音がしない
そんな事をどこかで聞いた

『天国なんてつまらないな』
彼は不意に不快な音を漏らした


そんな音すら
雨は綺麗に消し去ってしまう






18/09/21 00:04更新 / はともみじ
作者メッセージを読む
いいね!感想

TOP


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c