帰省
沈丁花の
春の匂い
アスファルトが熱に焼ける
夏の匂い
金木犀の
秋の匂い
霜が降りた土の
冬の匂い
温かい地面が水で濡れた
雨の匂い
匂いはいつも思い出とともにある
夕暮れ時、家からの
晩ごはんの匂い
ばあちゃんちの
タバコの匂い
何もかもが懐かしく感じる
町内に信号は両手で数えれるくらいしかない
360度どこを見ても田んぼか畑
人には
「何もないど田舎だよ」と
自虐的にネタにする
スーパーは町内に一件もないし
カラオケや飲み屋もない
でも、なぜかすごく好きなんだ
たぶん
そこでしか嗅げない
匂いがあるから
そこにしかないものがあるから
そこにしかない匂い
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