歩道橋
大きな車道を渡りたくて
歩道橋を登った
道路を上から眺める
道行く人や立ち止まる人
行き交う車、街路樹、街灯、電線、
この街、その営み
どれもこれも僕には関係ない
目に映るものはなに?
僕が見ているものは
僕が見せているのか
だとしたら、僕はどこへ行くのか
不意に手を握られ、声が聞こえて、匂いがして、
振り返ったけれど、誰もいない
あの手の感触はあの人の手の感触
あの声はあの人の声
あの匂いはあの人の匂い
あの人が笑顔で話す姿を今でも忘れてはいない
それは僕の心が写した幻想なのか
それともあの人が僕に向けてくれたものなのか
ぼんやりと考えながら、
登った方から歩道橋を下りた
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