瞼の裏の小さな街は
カラーコーンを背中に乗せて
俯きがちに 赤信号を渡ったり
丁度いい木がないものだから
息を切らして 電柱によじ登ったり
子供達の影が揺れているのは
楽しいからか 苦しいからか
それとも 分からないからなのか
ほらほらそれじゃ危ないよと
コーンの頭に 黄色い帽子を被せたり
どうせだったらご褒美をなんて
電線に 風船を結び付けたり
大人達の手が震えているのは
愛しいからか 憎らしいからか
それとも 分からないからなのか
瞼の裏の小さな街は
地面から雨が滲み出して
夕陽はぼんやり浮かんだまま
色だけが抜けて夜になる
なぜ なぜ なぜ なぜ・・・
おかしい こんなのはおかしい
僕の心と体の摩擦で
点いた火種に 息を吹きかけて
誰かが花火を打ち上げる
おかしい おかしいはずなのに
煙に紛れる歪な星や
濁った光が照らす夜景に
思わず見とれてしまうのは なぜ
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