ゆうやけこやけでひがくれて
ゆうやけこやけでひがくれて・・・
公園の真ん中でのっぽが歌い出すと
大人も 子供も 野良猫達も
自分の影と歩いて帰った
まだまだ遊び足りない僕は
遠回りして家に帰った
遠い昔の日曜日
団地の脇を通ったとき
あの子が晩ご飯を食べながら
家族と楽しそうに話す声が聞こえた
甘酸っぱさとほろ苦さが
喉の奥から込み上げてきて
僕は思わず駆け出した
駄菓子屋の前の坂道で
飲み干したコーラの缶を蹴飛ばした
間抜けな音をたてて転がって
缶は小さく見えなくなって
寂しさだけが足下に残った
憂さ晴らしに蹴ったはずなのに
遠い昔の日曜日
色褪せた思い出の帰り道で
僕の影は何度も立ち止まる
雑草だらけの広い空き地や
傾いたぼろ家の前
そして囁くように 諭すように
どこかでのっぽが歌い出す
ゆうやけこやけでひがくれて・・・
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