日暮れの気持ち
枯れ草だらけの土手沿いは
生き物の微かな気配も感じない
それどころか 吹き付ける風が拾う
ひと欠片の音すらもない
無垢な僕の遊び相手をしてくれた
蛇や蛙や蜻蛉を求めて
似ても似つかない雲を見上げた
みんな何処へ隠れたのだろう
遥か彼方へ沈み行く夕陽は
幼い頃に擦りむいた膝小僧のよう
痛々しく揺れる赤色に耐えられず
背筋が震え涙がこぼれる
あの頃は自分の体に傷ができても
滲み出す血に平然としていられた
痛みに何故だか誇らしさを感じて
高らかに笑うこともできた
また長いながい夜が来る
何時かは目一杯自転車を漕げば
暗くなる空にも追い付かれないと
本気で思っていたけれど
流れては溶ける星の尾っぽが
小さな僕の背中と重なる
そんな虚しく寂しい幻のせいで
今夜もきっと眠れなくなる
TOP