私は会いたい
淡く色付きだした山並みに
こだまする声のような風
木々や虫達がざわめく側を
微かな気配が通り過ぎた
私は会いたい
何かに会いたい
収穫を終えた畑の隅で
一人静かに佇む案山子
夕陽に押されて傾く体を
長く伸ばした影で支えた
私は会いたい
誰かに会いたい
乾いた両手の平の中
記憶の露を満たした池
枯れ葉が足跡のように
そっと舞い落ちて波紋をたてた
私は会いたい
あなたに会いたい
あなたの奥に残したままの
私に会いたい
私は会いたい
20/10/06 12:21更新 /
わたなべ
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