私の街は
優しい平 辛辣な甲
物憂げな指 激昂する爪
矛盾に浸した巨きな手で
夜毎に街は組み替えられる
玩具の箱を弄るように
私の街は組み替えられる
何時か仰ぎ見た満月を求め
虚ろな景色を彷徨えば
苔生す池に投げ捨てられた
惨めな三日月と出逢う
浮腫んだ足を休ませようと
屋根に敷かれた布団で眠れば
忽ち庭の四隅がひび割れ
垣根は何処かへ逃げて行く
顔を溶かした隣人達が
聞き覚えのない言葉を囁き
並んだ窓辺のカーテンは
せせら笑いに怪しく揺れる
澄んだ眼差し 吊り上がる眉
冷めた唇 熱を帯びる歯
巨きな顔が覗き込む
夜毎に組み替えられた街
裸の乳飲み子のような
私の組み替えられた街
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