迷い子一座

迷い子一座のクラウンが
欠けた月の鼻の先から
お客を探して街を見下ろす

重い瞼の裏側で
冷たい手摺にもたれ掛かる
虚ろな目をした子どもたち

いくつも寝返りを重ねて
蛍光灯の点滅から
必死に逃げる子どもたち

彼らの濡れた枕元
クラウンはそっと降り立って
秘密の舞台の幕を上げる

迷い子一座の演目は
星のスポットライトの下で
子どもの心を包むメルヘン

迷い子一座は夜を行く
同級生の並んだ顔を
ウサギやリスの群れに変えて

迷い子一座は夢を行く
先生が撒いたチョークの粉に
甘く優しい詩を紡がせて


20/05/07 13:40更新 / わたなべ
いいね!感想

TOP


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c