うたた寝

明けない夜のうたた寝に
頬を伝い落ちる涙は
何時かあの子と夕陽を追った
土手の砂利と同じ音を立てます

あの子が何処かへ消えてから
行方を捜し回る度
僕は萎れた夢遊病者の
瞼の門をくぐり抜け

杭の腐った桟橋や
霞がかった杉の森
螺旋を描く景色の中を
前へ後ろへ降りた先

撹拌された記憶の底で
淀みを掻き分け伸びている
辿り着く場所のないあの道を
一人俯き歩きます

明けない夜のうたた寝に
頬を伝い落ちる涙は
何時かあの子と土手で見上げた
星屑と同じ色で光ります


20/04/27 10:24更新 / わたなべ
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