迷子
古本屋のおじさんの
背中の向こう どこへ続くの
いたずら仕掛けた野良猫が
すまして消えたの どこの庭
迷子になるのが怖くって
あのとき開けずにいた扉
不思議な色が漏れ出す隙間が
町にはたくさんありました
友達が言ったまた明日
明日はどこから やってくるの
のんきな顔で浮かんだ雲が
流れていったの どこの空
迷子になるのが怖くって
あのとき駆け回った道
どれだけ必死に自転車漕いでも
辿り着けない場所がありました
今ではあのとき あの場所が
遠くなるのが怖くって
まぶたの裏で日が沈む頃
わざと迷子になるのです
どれだけ心が強くなっても
もう開けられない扉があります
どれだけ車をとばしても
辿り着けない場所があります
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