ふたりきり
あの子の毛のついた首輪が
土手をさまよう頃
僕はカーテンしめきって
夕暮れからきた寂しさと
ふたりきり
はっきり滲んだ向こうのそばに
月の瞳に見つめられると
どうにもならないうちにじゅわっと
薄く溶けてしまうから
僕はあの子の耳のぬくもり
毛布抱きしめて思い出した
月の光に撫でられると
どうにもならないうちにぼうっと
遠く流れてしまうから
僕はあの子の揺らした草の音(ね)
枕のそばがら鳴らして真似た
はっきり滲んだ向こうのそばに
あの子の毛のついた首輪が
土手をさまよう頃
僕はカーテンしめきって
あの子のふりした寂しさと
ふたりきり
ふたりきり
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