夜の向こう

枯れ木の息づかいを真似て
外灯は明滅し
カラスはねぐらで躓いて
癇癪気味に喉を潰し

夜の向こうを垣間見る
隙間に沈んだこの街の
空には歪な雨雲が

傾げたポールは待ち人の
裏切りに泣いた記憶を残し
行き先知れずの十字路に
呆けた信号は佇み

夜の向こうが覗き込む
隙間で淀んだこの街に
漂う霧から腐った匂いが

夜の向こうが降りてくる
川面 ビル陰 枕もと
目が眩むような輝きの
星の欠片を携えて

夜の向こうが囁きかける
身代わり 安らぎ 結びつき
膿の根を探りあてようと
甘い吐息を撫で付けて


23/02/10 22:01更新 / わたなべ
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