三日月のした
どぶ川の水面に虹が映ると
割れたプランターの中で花が咲くと
きれいな目をした子供たちが
無邪気に歌ってとびはねます
泥や枯れ葉もそれにつられて
響いて 浮かんで 音符に 羽根に
小さな背中から伸びる影に
帰り道を見つけた大人たちは
六角柄の出刃包丁を
自分の胸にそっと向けます
やがてたどり着く場所は
遠くて 近くに 近くて 遠くに
こんな不思議なことが起こるのは
誰かが真昼の空に打ち上げた
ゆがんだ三日月の明かりが
かげろうになって降ってくる
ほんの少しの間だけです
ぼやけて うつろに 滲んで かすかに
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