丘で目をつむれば
惑星が落ちてくる
そんな噂のあの丘は
町はずれの寂しい池を前に
一本きりのクスノキがしんとたっていて
自分の手も見えない時間に
丘の頂点で目をつむると
まぶたの裏の幾何学模様の奥は
つむじから出た磁気で引き寄せられた宇宙で
そこに光るのは土星で
環の中を無邪気に走る影が見えたり
あるいは木星の輪郭に
溶け込んで姿をくらまそうとする影が
不思議でうつろな交信
クスノキがさらりと揺れて目を開くと
あっという間に圧縮は解かれて
また変わらない暗さのなかで
惑星が落ちてくる
そんな噂のあの丘は
町はずれの寂しい小屋を前に
一人きりの誰かがしんとたっていて
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