あの子は消えた
あやしいおぼろ月のした
あの子は白い布切れを巻いて
澄んだ宝石をこぼれるくらい
両手に乗せて空へ掲げて
呼んでる 呼んでる
優しい声で
あれは悲しい光を蓄えた
どんな術もどんな思惑も
なにも含まない原石で
恥ずかしいほど大切なもの
あの子はいったい誰に許されるの
いったい誰に許されるべきなの
どこへ導かれるべきなの
なぜ涙を浮かべてるの
どうして どうして
優しい人よ
思わず視線をそらした瞬間
あの子は跡形もなく消えた
乗っていた蓮の葉の上に
石を一つだけ残したまま
どこかへ どこかへ
あの子は消えた
さよなら さよなら
優しい心
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