帰りたくってしょうがない
僕の住んでたあの家は
大きな時計のまんなかで
赤いレンガになめらか毛布
くるくる景色のまわる窓
三時についた針のさき
汚いおじさんお酒を飲んでて
九時の方では赤ん坊
のどをちぎらせ泣いていた
お母さんに肩を抱かれて
僕はぼうっと外を見てたよ
夜とお昼と明け方を
するっと落ちた家だった
あああとってもぼんやりさ
帰りたくってしょがないよ
僕の住んでるこの町は
四角い塀にかこまれて
茶色いバラック小屋の中
犬もネズミも入れられる
壁の反対の道路から
誰かがじっとこっちを見てて
クスノキの上でお医者さん
病室あけて待っている
視線がとってもするどいから
僕はばらばらに飛び散ったよ
腕と頭とふとももが
散歩に出たまま戻らない
あああ切れ目がむずかゆい
帰りたくってしょがないね
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