夕方の風鈴
りん
りりん
夕方の風鈴は
町の記憶がならすおと
ばあばの家の縁側でなった
もひとつ遠くの神社でなった
僕の知らないじいちゃんが
僕の知らない神様と
並んで赤い石段を
降りてくる予感がしたよ
塀の上にいたのらねこが
向こうを見たまま立ち止まった
もうすぐここに寄るのかな
りん
りりん
寂しそうな風鈴は
町がまどろんでならすおと
ばあばの家の縁側でなった
もひとつ遠くの学校でなった
僕の知らない子供たちが
僕の知らないおもちゃを
とりあいながら公園で
遊んでる気配がしたよ
小屋で寝ていたむく犬が
嬉しそうにしっぽを振りだした
帰りはここに寄るのかな
TOP