僕の知らないおもいで
あのときの夕日は
やけにきれいだったと聞きました
赤は赤でも奥そこまで
突き抜けるような色だったと
みんなが思わずした拍手には
喝采よりも畏怖の響きが
多く含まれていたとか
それからというもの
みんなやけに足がはやくなり
気づかないうちに
地平線に追い付いてしまった人が
ごまんといたと聞きました
誰かがそこで消えると
なおさら日の赤さが増して
吹きつける風には焦げた匂いが
夜空にはどんどん
星の数が増えていって
それを見上げるみんなには
慰めよりも深い悲しみをもたらし
光の間を縫うように残った暗闇の中に
取り残された人たちは
居場所を求めたと聞きました
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