解放区へようこそ
両親の顔が描かれた風船を空に浮かべて
幼馴染に初めましてと挨拶をした
必然だと教え込まれていた偶然を疑って
滲んだ影を振り払った
鏡に映った自分を鏡ごと叩き割って
その破片で頬の肉を抉って血を流した
想像よりも黒味を帯びていた血の色に怯えて
澄んだ涙を思い出した
解放区へようこそ
歪な赤字でそう書かれた看板を
前にもどこかで見たことがあるような気がする
そこは世界地図のどこにも載っていない
寂れた街の入口だったはずで
もうどこにも行かなくていいんだね
震える声でそう叫びながら
前にも誰かと抱き合ったことがあるような気がする
その人はまるで万華鏡のように
無数の表情を同時に浮かべる人だったはずで
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