僕らは歯車に似た形

ネジが外れて空気が湿って
鉛の空から疑問が降った
幹線道路の繋ぎ目が割れて
行きも帰りも出来なくなって
歯車は止まってしまった

海に行こうとしていた人に
山に行こうとしていた人や
街から出ようとしていた人に
街に帰ろうとしていた人も
人 ひと 一人残らず止まってしまった

人ではない誰かの気まぐれで
作られたのかもしれない僕らは
人ではない誰かの気まぐれで
作られたのかもしれないこの場所で
目を覚まして眠って また目を覚まして眠って

きっと僕らが次に目を覚ましたら
今よりも更に歯車に似た形になっていて
人ではない誰かの気配に怯えながら
鉛よりも暗い筈の空からまた疑問が降るまで
止まることを知らないでいて


25/11/17 21:20更新 / わたなべ
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