地図が読めない
地図が読めなかったから
友人との約束を破ってしまった
彼女との約束も破ってしまった
冷や汗をかきながら街を歩き回って
やっとの思いで待ち合わせの場所に着いても
相手は既に帰ってしまっていた
地図が読めなくても
学校には行くことができた
家に帰ることもできた
両親や先生は僕の成績が少しでも悪くなると
仰々しく嘆いて励ましてくれたけれど
勉強以外の問題は取り合ってくれなかった
地図が読めないことを打ち明けると
ある人からは嘘つきと言われた
ある人からは馬鹿にされた
みんなはいつどこで読み方を習ったのだろうかと
疑問を持ち続けていたけれど
恥ずかしくて尋ねることはできなかった
地図が読めないことを打ち明けても
読み方を教えてくれる人はいなかった
目的地まで一緒に歩いてくれる人もいなかった
孤独に突き当たる度に
書き割りの街並みに奥行きを見つけて
ますます迷うようになった
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