大きな誰かが
煙草の匂いが染みついた作業着を着る父さん
髪を掻きむしりながら家計簿を付ける母さん
一回の授業で何本もチョークを折る先生
トイレに行く時にも付いてくる友達
僕が会っている人達のすぐ後ろに
顔も名前も知らない
大きな誰かがいるような気がする
駄菓子屋の跡地にできた駐車場
見通しを良くする為に切り株にされた街路樹
アパートの空室ありと表示された看板
先週まであの子が座っていた窓際の席
僕が暮らしている街の至る所に
靴でも素足でもない
誰かの足跡があるような気がする
あなたは誰ですか
何をしようとしているのですか
僕達は何になるのですか
どこに向かっているのですか
僕は毎晩頭まで布団を被って
そう尋ねているけれど
きっと死ぬまで尋ね続けるような気がする
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