君と僕とカナリアとオウム

君から譲り受けたカナリアは
今日も口を閉ざしたまま鳥籠から出てこない
僕のオウムは目を見開いて
糞を垂らしながら部屋中を飛び回っている

行かないで 一人にしないで
優しくするから 大切にするから
言葉の意味を少しも理解しないまま
ただ主人を真似て叫び続けるオウムに殺意が湧く

どうして君は行ってしまったのだろう
僕のオウムを受け取ってくれなかったのだろう
全ての答えはカナリアが知っている筈なのに
どうして鳴いてくれないのだろう

僕は夜毎薬の代わりに酒を呷って
粘ついた悪夢の中を歩き回る
カナリアを真似たオウムの声を頼りに
君の幻を探し求める


24/08/07 12:06更新 / わたなべ
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