眠りながら生きていく
朝と昼と夜が混ざり合った日はいつだったか
血と汗と涙が混ざり合った日はいつだったか
どちらももう忘れてしまった
僕は眠りながら生きる術を知って
ようやく人間になれたのだと思う
窓の向こう 氷山に墜落したロケットの中から
助けを求める声が聞こえる
懐かしい顔の子供が
カビに侵されたカーテンを揺らして
僕を遊びに誘おうと部屋に入ってくる
どうして失敗したのだろう
出発前にしたシミュレーションは完璧だったのに
痛い 寒い 苦しい 誰か助けて
秘密基地を作れそうな場所があったよ
一緒に行こう 早く着替えて
うるさい うるさい うるさいけれど
半端な騒音は癪に障るから
もっとうるさくなってほしい
自責の念とやるせなさが
子守歌のように瞼を重くする
どうかこのまま目を覚まさないように
いつまでも安らかに眠り続けられるように
今この瞬間がとても幸せだ
僕は眠りながら生きている間だけは
人間でいられるのだから
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