五月の反抗

たんぽぽの綿毛がむず痒く舞う中を
僕は一人俯きながらさまよう
君 ねえそこの君 一緒に愉快にならないか
スーツを着た爽やかな五月の憂鬱が
至る所で僕を待ち伏せている

愉快になどなるものか
不愉快を忘れた振りなどするものか
僕の友人は憂鬱にそそのかされて
笑顔が消えなくなってしまった
泣く時にも怒る時にもだらしなく笑ってしまう

花が散って痩せこけた桜並木に
湿度を増して重苦しくなっていく空
酔いどれのような足取りで
仕事場に向かう人の群れ
ああ 何もかもが不愉快だ

散り散りなった夢がむず痒く舞う中を
僕は一人拳を握りしめながらさまよう
君 ねえそこの君 強情になるのはよせよ
髪を整えた爽やかな五月の憂鬱が
至る所で僕を嘲笑っている


24/05/29 13:35更新 / わたなべ
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