羊と駅の夢

夢を見る度に
髪の毛が白く染まる
僕が俺になり 俺が私になる
羊が一匹 羊が二匹
羊が三匹 四匹 五匹

地下鉄のホームに繋がる階段を
転ばないよう慎重に降りていく
時刻表はポケットの中にあるけれど
肝心な今の時刻が分からないから
焦ることも落ち着くこともできない

階段を降りていく
薄闇の奥のホームでは羊が鳴いている
誰かを呼ぶように鳴いている
もう百匹以上は数えたはずだけれど
孤独な鳴き声がきこえる

羊が一匹 羊が一匹
たった一匹 一匹 一匹


24/05/16 15:51更新 / わたなべ
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