僕は魚です

僕は淡いピンクの泡を吐きながら
憂鬱の波を立てる魚です
涙で薄まった血の海を
ぼんやりと漂う魚です

なぜ生まれたのか 誰に育ててもらったのか
僕にはさっぱり分かりません
不器用で上手く泳げない
惨めな魚です

けれどどんな風に死ぬのかは
分かるような気がします
あちらこちらで光る釣り針に
胸がときめいてしまうのです

僕は魚です 惨めな魚です
観賞魚には向いていません
誰かに食べられてしまう方が
性に合っていると思います

僕は魚です 食べるのは人間です
僕は食べられる側です
骨も柔らかくなるくらい煮込まれて
食べられてしまいたいのです


24/04/12 12:23更新 / わたなべ
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