夜の海と桟橋の夢

昨日の夢はやけに静かで
僕は鍵っ子だった頃を思い出した
杭の腐った桟橋が
沖に迷路を描いていた

黒い海はぬらぬらと水面を揺らして
何かを隠しているようだった
か弱い月明かりが気まぐれに
水面を白く引っ掻いていた

橋の上に人影はなくて
水中も殆ど見えなかったけれど
そこかしこに誰かの気配が漂っていた
それは懐かしくて 少しよそよそしかった

僕は淋しさよりも苛立ちのせいで
体の震えが止まらなかった
釣り竿を握りしめていたけれど
飛び込みたくて仕方がなかった


24/02/29 12:22更新 / わたなべ
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