嘘がつけない夜
泣きたくてしょうがない夜は
決まって嘘がつけません
星が僕の声に呼応するように
窓の向こうで光っています
どうして生まれてきたのだろう
どうして死んでしまうのだろう
理由を追い越して思い付く問いは
理由を知りたくないだけなのかもしれません
父さんが父さんではなくて
母さんが母さんではないのなら
僕が僕の為ではなくて
僕が知らない誰かの為にいるのなら
骨組みのない粗末な仮説は
崩したくて立てるのかもしれません
飽きずに積み木遊びを繰り返していた
幼かった日々を思い出して
嘘がつけない夜だから
時間の残酷さに耐えられません
月が僕の顔を覗き込むように
窓の向こうで揺れています
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