晩夏の憂鬱
偶然生まれてきた僕は
いつか絶対にいなくなる
爺ちゃんが写真の中から
笑ってそう教えてくれた
偶然出会った誰かが僕を
きっと忘れずにいてくれる
あの子が首輪に残した匂いで
優しくそう教えてくれた
今年こそはと思ってたけど
やっぱり夏は終わるんだ
いつの間にか半袖短パンだと
寒くてしょうがなくなった
静かになるのが怖かったから
蝉の抜け殻をたくさん集めたのに
置きざりにされるのが怖かったから
線香をたくさん焚いたのに
少しずつ濃くなってきた秋の風に
足がすくんでしまった僕は
笑顔のまま夕焼けを見つめていられる
田んぼの案山子が羨ましい
TOP