夜を歩く二人
僕が犬の首輪やお婆ちゃんの写真を釣り上げると
入り江がクラゲで埋め尽くされてしまうから
おじさんは釣り竿を投げ捨てて
僕のことを殴るんだ
僕が誰かに隠されたランドセルを見つけ出すと
団地のベランダが一斉に明るくなるから
おじさんは自転車小屋の裏に隠れて
僕のことを叩くんだ
僕らは夜の片隅で出会ってから
ずっと一緒にいるけれど
どこから来たのか 何を探しているのか
お互いの事情はほとんど分からない
おじさんはいつも不機嫌で
怯えた子供のような顔をしている
僕はその横で鼻歌を歌ったり
陽気にステップを踏んだりして
馬が合わない二人だけれど
夜は至る所に夢の沼があるから
呑み込まれてしまわないように
手を繋いで歩くんだ
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