未熟でわがままな子供
夜毎 瞼を閉じる度
未熟でわがままな子供が帰ってきます
彼は僕の情けない寝顔に向かって
滲んだ言葉で語りかけるのです
ぼく 鬼ごっこで最後まで逃げきれたよ
凄いでしょう 偉いでしょう
ああ お風呂に入ってさっぱりして
あったかい布団で夢を見たいな
僕の意識は 月夜に垂らした釣糸です
記憶の水面をとろりと揺らして
お気に入りだった服やおもちゃを
釣り上げようとするのです
ねえ どうして
ぼくの大切にしていた物を捨てたの
お父さんお母さん 友達はみんなどこに行ったの
どうしてぼくの寝る場所はないの
ああ またです
今夜もわがままな子供が泣いています
その声は枕をひどく湿らせて
僕に何度も寝返りを打たせるのです
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