夏が終わる頃
いつからか 祖父母の家の庭で
蝉の亡骸を沢山見つけるようになった
生家の窓辺に吊るしてある風鈴の音が
耳を澄ましてもよく聴こえなくなった
ほら もうすぐ 終わる頃だよ
ああ もうすぐ 終わる頃なんだ
俯いて影を揺らす向日葵に
そっと麦わら帽子を被せたのは 誰だったか
日差しが和らいで 顔の火照りがひいて
荒々しかった呼吸も整うと
僕は途端に全ての物事から
遠く 離れていくような気がする
どうして寂しくなるのだろう
何が悲しくさせるのだろう
汗のかわりに頬を伝うのは
淡く儚い 涙の粒で
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