ながい夜

不思議なことがおこるのは
いつも頭が響くのと同時に
音と手触りがまじわるとき
咳払いに返事はないのに
ふと宙に浮かせた視線が
繋がっていると確信する

天井のシミが踊り出して
行ったこともないどこかの
古い祭りの儀式を見せる
窓から風が入り込んで
会ったこともないだれかの
調子外れな声を聞かせる

それはながい夜のはじまり
朝日に優しくさとされるまで
地球のヘソにでもなった気で
ああでもないこうでもないと
分かるはずのない問題に
心を深く潜り込ませる


19/06/05 00:42更新 / わたなべ
いいね!感想

TOP


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c