永遠の少年
僕が今でも 窮屈さに目を背けてまで
ブランコやシーソーに乗ってしまうのは
胸の奥の螺旋階段を歩くような
不思議な気持ちになれるからです
等間隔で軋む音と 浮かび上がる瞬間に
足首がむずかゆくなる感覚が
とても心地良いのです
硝子細工の あの螺旋階段は
どれだけ慎重に足を置いても
無数の亀裂が入ります
何時かの誰かが煌めきながら
万華鏡のように映ります
一人遊びの後 赤く染まった空の下で
口を開けたまま立ち尽くしてしまったのは
柔らかい手の平に包み込まれるような
優しい気持ちになれたからです
雲もからすも風船も 夕陽を追いかけて
水平線へと流れていく姿が
とても穏やかだったのです
僕のすぐ後ろ 廃団地のベランダでも
持ち主と解け合った影達が
静かに空を見上げていました
汚れた言葉を全部吐き捨てた
芯まで綺麗な影達でした
冷たい夜 抱き締めた自分の二の腕に
血が滲むほど爪を立ててしまうのは
僕の中の僕に置き去りにされたような
寂しい気持ちになってくるからです
日毎に肉を増す四肢と 硬くなった関節の
泣き叫ぶように軋む音が
とても気持ち悪いのです
帰り道 明滅する外灯や
家々の窓から漏れる明かりが
どれも悲しく見えてしまうのは
僕が大人だからでしょうか
それとも 子供だからでしょうか
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