あこがれ
からすが頭を下げるくらい
夕焼けが似合うおじさん
夜にはふらふらさ迷って
見えない誰かを追ってるなんて
へんな噂をされている
僕あの人が忘れられない
夢を書こうって言われて
思わず茶色のクレヨンで
ぐっちゃぐちゃにした僕の絵を
先生にひどくしかられて
こっそりゴミ箱に捨てた
できそこないの僕の絵を
ちゃんと眺めてくれそうだから
額縁にいれてくれそうだから
からすと並んで遠い目で
夕焼けを見送るおじさん
夜を笑って迎え入れて
しょっぱいお酒を飲んでるなんて
誰ひとり気づいていない
僕あの人を追いかけてる
誰とも繋ぐこともなくて
ずっと宙ぶらりんのまま
かっさかさになった僕の手を
ずっと気づかれなかったから
こっそりポケットに入れた
はみだしものの僕の手を
優しく握ってくれそうだから
引っ張ってってくれそうだから
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