深夜、理由があるなら、問わせてほしい
悲しみが、
Tシャツのようにかんたんに脱げたら、
シャツに描いてみせた字を
綺麗なこころのままで読む。
くつろげるホームもなく、孤立した、
笑顔が消え入るような若者は、
目に涙をためて、真っ赤になって、
自分を許せず、怒っている。
キンモクセイの香りただよう極楽が、
君をこの家に招待した夕べに訪れる。
まだ許せないものを知らなかったころ、
よく聴いた歌。
瞳に湛えた、優しい思い出の歌。
あまりに懐かしい感情を思い出し
月なき闇夜を、照らすともしびは星の歌。
見守ってくれる、
寂しさをつつみこむ感性を
あなたは、失わない。
それでも混沌の落日のなか、
たまに、心に降りしきる、
忘れられない悲しみを
無視するわけにはいかないから、
この世界の生い立ちを
楽しく語ってくれる心の友よ、
あなたのことを先生と呼ぶから、
どうか、まじめな希望を棄てたりしないで
私の生きていてもいい理由を問わせて。
生きていてもいい、理由があるというのなら。
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