金魚の音



夏に買った
金魚鉢は
金魚を飼うための
金魚鉢なのに、

いまではもう
青空を飼ってしまっている。

いつか知らないうちに
金魚が青空に
溶けてしまったという、
嘘みたいな嘘を彼女たちに聴いた。

だから冬のあいだずっと
金魚は生きていたのですよ、
って、
彼女たちは云い張るんだ。

ホラ、夏至も過ぎても
あなたは
微熱に悩まされているでしょう?
金魚の姿をみたくって。

でもね、
いまも深夜。

あなたが眠っているときたまに
ポチャンッ!
って、
その青空から
生きている音がするのですよ。

って、
彼女たちは嘘をつくんだ。








21/07/31 08:43更新 / 花澤悠
いいね!感想

TOP
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c