満月



  

扉を開けて外に出る
東の国の上に
眩しいくらいの満月が
昇っていた

ので
すこしも寂しくなんかなかった

あの月の下には
どんな街があるのだろう

きっとやさしい言葉が流れる
あたたかい夜があるのだろう

静かに流れる月光の
すこしやすっぽい涙色の悲しみ

こちらの街には
そんなものも降りそそいでいますよ

悲しみを数えるのです

けれどそれはそんなに多くはなく
最後まで生きてゆく中では
すこしだけ目に染みる
小粒のスパイスなのかもしれないかな

歩きつづけると
すこしでも体があたたまる気がする

今夜はゆっくり眠れそうだ
すこやかに眠れそうな気がする

みおろせば川に浮かんで揺れている
満月のおかげかな








23/11/28 08:25更新 / 花澤悠
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