迷霧の連弾 60
田宮先生はどうするのだろう
まさかボクたちの組に
入り込むことは
ないだろうか
田宮先生の普段からの
豪快な行動を思うと
ありそうだったので
気になっていたけど
結局田宮先生は一人で
テントにこもることになった
その方が堂々と飲める
田宮先生はどこか嬉しそうだった
でも保健の先生から
引率者が飲酒するとは
何事ですかと
注意を受けていた
田宮先生はハイハイと
残念そうに返事をした
そんな呑気なやりとりを横目に
ボクたちは管理棟で
自分たちの使う
テントと夜具を借りて
テントサイトへと向かった
松林の中に
テントサイトはある
大きな木に囲まれて
日光が遮られ
夏の森林の香りが漂って
涼しかった
こころなしか
蝉の鳴き声さえも
涼しげに聞こえた
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