迷霧の連弾 25
背後から理恵を眺めて
教室にいる時とは
まるで別人と思った
草花の観察が好きで
楽しくてたまらないのか
真っ先にそう思うのは
当然のことだろう
でもそれならば
科学の授業のある日は
朝から楽しそうに
していても良さそうだ
でも今日の理恵はいつもどおり
教科書を眺めて
人を寄せつけないバリアで
身を守っていた
もしかしたら
科学の田宮先生に
特別な思いを
抱いているのではないか
理恵は田宮先生を慕っている
そして田宮先生は
理恵の草木に対する好奇心を
本物と認めている
だから理恵は
科学の授業では
別人になれるのか
そう考えたけど
どこか違うと思わずには
いられなかった
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