迷霧の連弾 143
ボクたちは
教室に戻る途中だった
あれから田宮先生は
生徒たちを連れて
学校の裏山に
秋の七草を観察に行った
でもここには
ススキとクズしか
自生していなかった
この草は珍しくもなく
いつもの通学路に
生えているものだった
ススキはみんな名前も容姿も
知っていた
クズは一部の生徒が
初めて名前を知る程度で
その旺盛な繁殖力と
他の草木をも
飲み飲んでしまう勢力は
もはや知らない者はいない
ただクズの花を
見たことがない生徒は多く
今日の授業で
見ることができたなら
それなりに収穫はあったのだけど
残念ながら
まだ開花時期ではなかった
田宮先生は残念そうにしていた
みんなは秋の七草が
全て見られなかったけど
田宮先生が得意げに
解説するという苦行から
免れたことに
胸をなで下ろしていた
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